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YZ85LW改
前々から考えていた足回りの無いYZ85LW復活計画を始動する事にしました。
これまでにTTR125LWにYZ80/85LWのサスペンションを移植する依頼を4台ほど受けています。
*2004年のお話
その際、要らなくなったパーツは当方で頂いていますが、中にはエンジンレスでも何でもないマトモな車両から、足回りだけ取っただけの物なども残ったりします。
今回の企画は、そんなこのまま朽ち果てさせるのは勿体無い半端な車両を、又乗れるようにしてやろうというものです。
今現在、ガレージ&倉庫に眠る部品は、足無CR80R2が1台、足無YZ85LWが1台、その他新品80フレームが2台分、エンジン・色々な車種の足回りが数台分・・・。
その中から、今回選んだのは、足無YZ85LWへ移動用にTTR125LWの足をくっつけた、既に十分かなり怪しい雰囲気を放っているコイツです。
この画像は、別のエンジンレスYZ85LWです。
80サイズは女性や子供が乗るのには良いのでしょうが、成人男性が乗るには小さ過ぎるように思います。
そこで今回のコンセプトは大人が楽に乗れる85ccとし、今まで誰もやった事のないであろう、馬鹿げた事をやってみようと思います。
そのまま80の足回りを付けて普通の80を作っても面白くないので、フルサイズ用サスを付けて、シート高アップ・ホイールベース延長、大人が乗った時に感じる窮屈さを無くし、更に誰でも直ぐに乗れるようなエンジン特性を目指します。
フロントはYZ125用フォーク
まずはフロントフォークから。
選んだのはYZ125用倒立フォークで、80フォークと比べると、長さが100mm程違います。
試行錯誤の末、この太いフォークを付けた状態でもハンドル切れ角が犠牲にならないように出来ました。
ホイールはTTR125LWのスチールリム仕様。
TTRホイールなら3セットほど持っているのでスペアに困りません。。(笑)
フロントブレーキキャリパーは、YZ125用フロントフォークに取り付けられるように、キャリパーステーを製作し、TTRのブレーキディスクに合わせる為に、TTR用を使います。
ハンドル及び位置変更
ハンドルを嵩上げする目的で、アチェルビス製のテーパーハンドル用アダプターを使い、マグラ製テーパーハンドルを付けました。
これでかなり楽なポジションになるはずです。
レバー類の破損防止にアチェルビス製ガードを付け、有ると便利なキャッツアイも装着。
リヤ周りは、TTR用のスイングアームを100mm延長し、リヤホイールもTTR用を使います。
ですからリヤブレーキはドラムです。(笑)
チェーンガイドは、CR80用を付けてみましたが、位置がちょっと悪いかな・・・。
まあ、気が向いたら直す事にしましょう。。。
リヤサスユニットは、ホワイトパワー製のPDSサスペンションを採用します。
(まあ贅沢)
エンジンがトラぶって、暫く動かせないKTMから持ってきた物ですが、ボルト2本で簡単に着脱出来るし、面倒なリンクを作る必要ないし、レートの違うスプリングも揃っている等の理由で採用を決めました。
PDSの車体を前に押し出す特性が好きな事もあります。
エアクリボックス製作
PDSサスペンションを採用した事で、エアクリBOXの容量が約2/3に減ってしまいました。
リザーバタンク移動量が大きいのが原因です。エアクリBOXはアルミで新作です。
ステップ位置変更
ステップ位置も変更します。
後ろに60mm、下に30mm移動で楽なポジションを獲得。
クランクウエイト追加
エンジンも少しだけ手を加えます。
同クラスの中でも、かなりピーキーなエンジンなので、多少の粘りが出る事を期待して、クランクにウエイトをかけます。
偶々見つけた何かの端材が、ウエイトにするのにピッタリの形・サイズなので、取り付けの穴だけ開けて、固定用の特殊なナットを作って装着。
テストの結果次第では、ちゃんと形を整えて、量産してもイイかも。。。
ん~、何の端材で何処で入手(拾ったとも言う)のかが思い出せない。
サイレンサー延長加工
最後にサイレンサーの延長加工、、、これもエンジン特性をマイルドにする効果があります。
ノーマルサイレンサーベースで1.5倍の長さにして、全長500mmにしました。
これは、80cc時代のサイレンサーと比べると、2倍の長さですね。
GASGAS ECシリーズのように、リアフェンダーぎりぎりのフォルムが、格好良いような笑えるような。。。(^^;;;
という事で、約2週間で完成しました。
簡単な車体スペックを紹介しますと、、、
サスストローク量 フロント | 280mm |
サスストローク量 リヤ | 300mm |
ホイールベース | 1390mm |
シート高 | 890mm |
最低地上高 | 390mm |
乾燥重量 | 推定75kg以下 |
といった所でしょうか。
跨った感じでは、80と125の中間サイズでコンセプト通りです。
この激怪しいYZ85LW改で、2004年の8Hパワーエンデューロのスモールクラスに挑戦!
レース本番まで一ヶ月。
何処まで完成度を上げられ、結果が出せるか楽しみです。。。
クーラントリザーバータンク製作
YZ85LWには、ラジエターが片側一個しか有りません。
まあ、2個使っている85ccなんかKTM85SX位で、どのメーカーも同じです。
スプリントならともかく、長時間走る耐久(しかも真夏に8時間。。。)だと、ちょっと厳しいかと思い、クーラントリザーバタンクを作って付ける事にします。
用意する材料は、容量250ccのポリ容器(97円)・ゴム製の輪っか(25円×2)・ピンク色の耐油ホース(2mで200円)で合計347円(税込)なり。
作り方は簡単、フタにゴムの輪っかをハメられる様に14mmの穴を2箇所開けます。
開けた穴にゴム輪をハメ込み、ホースを通します。
一本はフタギリギリにセットし、もう一本は、ポリ容器の底に付く位の長さにセットします。
以上、これで出来上がり。。。(笑)
ポリ容器にクーラント液を入れて、奥まで伸ばした方をラジエター側に繋げばOK。
適当に付けて吹っ飛んでいかれても困るので、固定用のステーをステンレスで製作。
たかが250cc容器といっても、余計なスペースなんて無い85なので、こんな所に付けるしか有りません。
ちょっと、エンジン熱が伝わりそうなので、断熱材を挟んで取付ます。
取付完了、、、こんな簡単なのでも十分効果あります。
KTM400EXC-Rで実証済み。
更にもう一台、、、激怪しいシリーズ第二弾、CR80R2が控えてたり。。。(笑)
TTRホイール崩壊
某遊水地で行われたハイブリCUPクラシックにて、激怪しいYZ85LW改は初レース初入賞を果たしました。
しかし、その後のフリー走行中に、リヤホイール(TTR125LW用)崩壊、、、
スポークが折れたというより、ニップルから抜けた感じで、リムまでグニャグニャに曲がってます。
スペアのホイールも、走行する度に、スポークが緩む症状が出ているのを考えると、TTR125LWのリヤホイールは、残念ながら、あまり激しい使い方には耐えられないのかなと思わざるえません。(-_-;
仕方が無いので、別で使おうと考えていた、KX80Ⅱのリヤホイールを投入。
これでリヤはディスクブレーキ仕様になります。
延長したTTR用スイングアームの内幅を、KX80Ⅱホイールが使える幅に再加工し、ブレーキキャリパーのストッパーも作り直します。
KXホイール&キャリパーの仮組み。
シャフトはKX用を使いますが、20mm程長過ぎ。
長い分だけ詰めて、適当なナットを溶接、、、こんなのは外れなければエエんです。。。
KXホイールには、アルミスプロケット(51丁)が付いていましたが、TTRホイールの鉄スプロケット(54丁)がいい感じだったので、崩壊したTTRホイールから、スプロケットを外して、KXホイールに使えるように加工してみました。
アルミの51丁・鉄の54丁の両方試してみて、具合の良い方を本番で使おうと思います。
加工前に2つのTTR用スプロケを見て気付いた事なのですが、TTRのリヤホイールハブって年式によって違うのですね。
KX用ホイールに、加工したTTR用スプロケットを取付、、、怪しさが増してます。(笑)
元々、YZ85LWはディスクブレーキですので、マスターシリンダーベース等は新たに作らなくて済みます。
こうなる事を予想していた訳では有りませんでしたが、下手に削り落としたりせずに残しておいて良かった。(汗)
マスターはKX80Ⅱ用・・・何とピッタリ(笑)
リヤのディスク化完了、、、このホイールならば、ガンガン攻め込んでも大丈夫でしょう。
しかし・・・ここまで寄せ集めのパーツで作られたバイクが、これまで在ったでしょうか?
あ、リヤブレーキホースはCRM250R用使ってます。(笑)
これでYAMAHA・HONDA・Kawasaki・KTMの寄せ集め・・・
イロモノなのにSUZUKIの黄色モノが無いな~。(^^;
これを付けて2時間ほど走ったわけですが、僅かながら減ってます。
別に押しが入ったりしたわけではないのですが、やっぱりリザーバタンクは必要だなっと再確認致しました。
激怪しいYZ85LW改での8時間耐久レース結果
8Hパワーエンデューロ無事終了、、、満足出来る結果も出せました。
8時間を3人のチームで交代しながら戦います。
私とスパルタ塾生の災い師に、オフ初めて1ヶ月の青年という即席チーム。
私以外は殆どレース経験なしという最弱の布陣(^^;
その為、バイクはとにかく乗り易く仕上げ、転んでも何とかなる85を選んだ次第です。
レースの方は序盤から飛ばしまくって、同クラスのライバル達に2周差を付けるアドバンテージを作って交代。
コースが狭い事も有り、排気量の大きなバイクとも十分戦える展開だったので、めちゃ楽しめました。
特に長い川下りのセクションとか、車体のサイズと軽さのお陰で最高のパッシングポイントでしたね。
トラブルも殆どなく、クラス優勝を果たしました。
チェーンが伸びて外れ易くなった位のトラブルしか無かったのも好結果に繋がりました。
結局、使う事の無かったガソリンサブタンク。
YZ85LWのタンク容量は5Lしかなく、リザーブも無いので、コース途中でガス欠させると終了してしまいます。
(満タンで約90分)
フォークとゼッケンプレートの間にあるスペース分のタンクなので、1.5L程度の容量ですが、20分位は走れるので、いざという時に重宝するはず。
見た目もスッキリで言わないと分からないでしょう。。。
出来れば3Lタンクにして、2時間無給油仕様にしたいです。
8時間レース終了後、点検&オーバーホールを行いました。
破損した所はナシ、リヤホイールのベアリングが逝った位ですみました。
また、クーラントのリザーブタンクを付けた事は大正解でした。
スモールクラスに限らず、結構吹きまくっていた中、YZはまったく問題ありませんでした。
8時間終了後に残量を確認しても、殆ど減っていませんでした。
整備完了、すぐにでもまたレース出来ます。
気紛れで作ったバイクですが今まで作った中で一番面白い代物かもしれません。
来年もコイツで8耐パワーEDやりたいですね。
その後、活躍の場もなく普通の85に戻されたのち売却しました。
欲しがってた人もいましたが、提示額が・・・ごめんね(^^;
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