
TIG溶接機のすすめ!?
少し前に、こんなメールを頂きました。
> 最近、中古のTIG溶接機(直交両用)を購入し、アルミ溶接の技術を収得しようとがんばっているのですが、なかなか出来ません。
> ここで質問なのですが、ステンレスを溶接する場合は、音もなく(?)材料が溶け出して溶接できるのに、アルミ(交流)の方をトライしてみると、ジジジジー。バジバジー!といかにも電気!と言うような音をたてて材料が黒くなるばかりです。
そうなんです、、、鉄やステンレスは、割と見よう見まねで溶接出来たりしますが、アルミはある程度の知識と技術がないと上手く溶接出来ません。
昔は10年やって一人前なんて言われるほどでした。
しかし最近は溶接機も進化し、ちょっとやり方が分かれば意外と簡単に出来るようになってきています。
アルミは溶接出来る条件をそろえないと、まったく溶接出来ない位シビアな代物ですが、分かってしまうと簡単です。
まず、溶接する対象の脱脂を行いましょう。
油分が黒くなる原因の一つです、又アルマイト処理が施してあるとやはり黒くなります、その場合はアルマイト皮膜を剥がして下さい。
次に、タングステン棒は常に綺麗に研いで下さい、アルミがタングステン棒に付いたりすると黒くなり溶接出来なくなります。
これらの条件を揃えて溶接準備完了です。
アルミの場合は、ステンレスのように「なめ付け」は基本的にNGです。
出来ない事はありませんが、強度は得られません。溶解池を作り、アルミ用の溶加棒を適度に差しながらウロコ状に溶接していきます。
溶解池とは、材料が溶けて水銀の池になったような状態の事です。
アルミは加熱しすぎるとドロっと母材が崩れてしまいますので、母材に対しての電流設定がシビアです。
低すぎても溶解池が出来ないし、高すぎると溶け過ぎて弾けてしまったりします。
弾けた瞬間、タングステン棒にアルミが付着するんですね。。。
丁度いい溶解池を連続して作りだし、そこに溶加棒を差し加える事で初めてアルミ溶接が出来るようになります。
あとは練習あるのみ、、、最初は隅付けで練習するといいかもしれません。
それとアルミは鉄やステンレスのようにスイッチオン即溶接では付きません。
母材が温まってないと溶解池が出来ないのです、その辺りは経験で分かるようになります。
交直TIG溶接機の値段
弘法は筆を選ばずと言いますが、溶接に関しては選んだ方がいい結果が望めます。
溶接機に関してはサイリスタ制御からインバータ制御、更にデジタル制御が主流になりつつあります。
性能は値段に比例するので出来るだけいい物が欲しい所ですが、下は20万から(サイリスタの中古)~出来るだけいい物を望むと100万(最新デジタル制御)を超えるものまで有る中でのお勧めは、単相200Vで扱えるインバータ制御の空冷仕様(新品で30~50万)辺りでしょうか。
アルミを溶接しないのなら、家庭用100Vで使える直流TIGが10万位からあります。
仕事で使うとか、アルミフレーム作りたいとかで無ければ、交直TIGは勿体無いです。
アルゴンガスも必要
TIG溶接にはアルゴンガスも必要です。
ガスボンベは購入するかレンタルになると思いますが、私の場合は溶接機を持っているバイク屋経由でレンタルして貰っています。
値段は充填して貰って1本6000円前後
使い方次第ですが、趣味程度なら半年~1年くらいはもちます。
電源も必要
家庭用100Vで使えるTIG溶接機も有りますが、能力が低すぎて逆に難しいです。
出来れば動力200Vを導入する事をお勧めします。
今の家はオール電化なので、最初から単相200V契約だったこともあり、ガレージ側に50Aの取り出しをお願いしていました。
TIG溶接機を動かすのに十分の容量を確保しています。
ボール盤や旋盤等の工作機械を動かすのに、三相200Vも導入しましたが、こちらは5kw契約で済んでいます。
最後にもう一つ、あまり注目されませんが溶加棒でも全然違います。
上は某国産メーカー製の溶加棒で溶接条件を外して無理やり溶接した物。
下は某イタリア製の溶加棒で条件を変えずに溶接した物、、、溶け込みのコントロール性と部材への溶着性がよく、非常に扱いやすい代物です。
取り扱い業者から薦められた時は、眉唾だったのですが、ちょっと感動しました。
溶接技術は日進月歩、先日テストした最新デジタル半自動アルミ溶接機も凄い性能でした。
従来の半自動アルミ溶接機は無理やり溶かして付けてます的な感じでしたが、最新モデルはTIGに匹敵する品質の溶接が可能となり、誰でも手軽にアルミ溶接が可能になるなと思わせるものでした。
ただ値段も凄いです、某イタリア製のオーリンズ仕様車が買える位。。。
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